2008年09月27日

京都での事件を受けて(1)

 京都での「フリースクールでの事件」として報じられている施設内虐待事件について、NPO法人東京シューレと学校法人東京シューレ学園は、次のようなアピールを発表しました。


丹波ナチュラルスクール虐待事件についてのアピール

 報道によれば、2008年9月9日に京都府丹波ナチュラルスクールの経営者と責任者が入所者の少女に暴力をふるい、怪我を負わせたとして逮捕された。丹波ナチュラルスクールでは、子どもの寝込みを襲い、手錠をかけ拉致してきた。2005年5月には拉致・移送中に少年1人が死亡させられている。ナチュラルスクールでは収容されている子ども・若者はプレハブの外から施錠され監禁されていた。親が面談を求めても会わせなかったり、プレハブを見せなかったりしていた。そして、平手や木刀での暴力が日常的であり、木に裸同然でくくられたというようなことも起きていた。食生活も粗末な食べ物しか与えられず、子ども・若者たちはやせていき、近隣の人々が心配する有様だった。もしこれが事実とすれば、これらの状況は、何重にも法を犯し、人権がまったく尊重されておらず、教育と呼べるものではなかったことは明らかだといえる。そしてこのような事件は、二度と繰り返されてはいけない事件である。

 このような事件が起きた背景には、子どもも親も追い詰められ途方に暮れてしまう状況がある。丹波ナチュラルスクールのホームページには「あらゆる相談、カウンセリング等を受けてこられ、諸機関では出来ないと思われた場合、最終的に相談にこられるスクールです」とあった。学校や職場などで子ども・若者が追い詰められる状況があり、さらにこの状況を理解できない親が子どもを追い詰めてしまい、親自身も困り果て、わらをもつかむ気持ちで、丹波ナチュラルスクールのような矯正施設に多額の費用を払ってまでもすがってしまう現実がある。 逮捕時、
保護された3人の少女のほかに2人の未成年を含む男女12人が収容されていたという。

 今回のように子ども・若者が、追い詰められた家族によって矯正施設に入れられ、人権無視の極限状態を強要される事件は繰り返されている。古くは戸塚ヨットスクール、不動塾、風の子学園、最近ではアイメンタルスクール、長田塾などによる事件だ。子どもの暴力に接する親は怖い。しかし、暴力に訴えざるを得ない子どもも困り果て、苦しんでいる。子どものSOSともいえる暴力を矯正施設の暴力で押さえ込むことは解決につながるどころか、かえって子どもの意思を無視して入所させた親との間に強い不信感をもたらす。親は、どんなに困ったとしても子どもを預ける場合はどのような場所なのか自分の目で確かめ、信頼に足るところでなければ預けるべきではないし、本人の意思を無視するべきではない。また、社会がこれらのような人権を無視した暴力による矯正施設を許さず、子ども・若者への理解を深めることが重要だ。

 今回、丹波ナチュラルスクールはフリースクールとして報道された。しかし、丹波ナチュラルスクールのホームページには「家庭内暴力、ひきこもり、校内暴力、情緒障害等」の子どもを対象とした「スクール」と書かれており、自らをフリースクールとは書いていない。このような矯正施設をフリースクールと呼ぶことがもたらす混乱もまた私たちは危惧する。フリースクールは法制度上の定義はない。しかし、「フー(自由) 」という語の意味はむしろ「拉致・監禁」の対極に位置するもので、子ども・若者の主体性を尊重する言葉である。全国約50のフリース
クールが加盟するNPO法人フリースクール全国ネットワークでは「子ども中心の理念に立って運営するフリースクール、フリースペース、子どもの居場所、ホームエデュケーションのネットワークなどの団体」を広義のフリースクールとみなしている。フリースクールは、自己と他者の尊重をベースとした子ども中心の教育を親、スタッフがサポートし実現する場である。丹波ナチュラルスクールのような矯正施設をフリースクールとして扱うことは、フリースクールの概念を混乱させ、フリースクールで学ぶ子どもやその親を苦しめるものである。

 私たちは、 このような子ども・若者の人権を蹂躙するような施設を存在させないような社会をつくっていくこと、このような矯正施設をマスメディアがフリースクールと呼び、社会全般がフリースクールの概念を混乱させることのないよう強く訴えるものである。

2008年9月17日
特定非営利活動法人東京シューレ(電話:03-5993-3135)
学校法人東京シューレ学園(電話:03-5678-8171)
www.tokyoshure.jp
posted by 考える会 at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | そのほかお知らせ
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